おちゃあるき, 民俗古代妄想, たべもの研究, blog

梅は香り、桜は心に咲いた

2013 古樹生茶 と 江戸後期蓋碗

2013 古樹生茶

ひさしぶりに
2013年、
シーサンパンナに移住して
初めてつくったプーアル生茶

茶山を訪れて
たまたま縁あって仲良くなった
ハニ族の友人夫婦

茶摘みから製茶
山の暮らしや歴史なども
教えてもらって懐かしく

茶葉を緊圧する
餅茶(びんちゃ)づくりは独学

造り方を見て試行錯誤
道具も探しに行って
一部は手づくりしたり
近所のステンレス工房にて
オーダーメイド

シーサンパンナは
西双版納と書いて
現地の人も僕たちも
「版納(ばんな)」の略称

版納のチャノキは
樹齢も桁が違っていて
山の栄養も豊富なことから
ふくよかなお茶ができる

緊圧して
酸化を緩めながらの
数年から十数年、数十年などの
経年熟成茶は名物

樹齢100年から
数百年と言われる
古茶樹から採れた葉で
古樹プーアル生茶

僕の
初めての古樹茶
初めての緊圧餅茶(円盤型)

ひさびさに封を開けたら
梅のような華やかな香り

湯を注げば
緑茶的にも感じられて
すっきりとあまく

成分の豊かさからか
舌にぺたりと滑らかな感触

当時に
つくったり
つくってもらったお茶が
まだそこそこ残っていて
一時期は販売用でもあったのだけど
いまは積極的には売っていない

なんとなく
売ることをためらっていたのだけど
その理由に先ほど気がついた

気がついたというより
腑に落ちたというか

このお茶たちは
2013年から15年あたりまでに
つくられたもので
今年で5年目の熟成を
迎えるものもある

風味は
毎年のように
変化があって
おそらくこれからも
育ってくれる

それを思うと
さらに5年、10年、20年、、50年と
味わっても行きたい

在庫には限りがあるから
手元にあるものを「販売」してしまうと
当然、やがてなくなってしまう

自分でつくって
または自分で緊圧して
毎年の熟成具合を
楽しんでいたものだから
いま手元にあるものは
想い入れが深い

これを
金銭でのやり取りの対象
「商品」としてしまうと
やはり心が痛む

(商売人に向いていない)

とはいえ
心身の健康のため、
渇いた喉を潤すためなど
純粋な目的で楽しむ人と
その時間を共有できれば
いうこともない。

今日は、
近所の梅の木に
ちらりほらりと咲いた
可愛い花を愛でながら

奇遇にも梅の香りのする
5年間熟成生茶を味わったら
なんだか諸々、腑に落ちた

そもそも
想い出まで含めた味わいを知るのは
僕しかいない

手元にあるものは
自分の好きなひとたちと味わえれば
それで良い

こぽこぽと湯を注ぎ
ふわりと香る柔らかな湯気に
そろそろ
父の命日だったな、とも思う

思いのほか
早かった

あの日は
珍しく雪が降って
季節もまだ早いのに
父の植えた
枝のように細くて小さな桜に
ひとつふたつ花が咲いた

まだ咲かないなぁ
いつ咲くのかなぁ

とか、
母に言っていたらしい

僕のお茶も
ひょっとしていつか
桜のような香りに
育つこともあるのだろうか

人生の先が
どれほど残っているのかは
誰にもわからないことだけど

僕にはいくつもの
「一生涯の楽しみ」がある

苦しい時期はあっても
いまがやはり最も好いし

そばにいてくれる人たちにも
この人生をくれた両親にも
感謝が尽きない

命日、もうすぐだったな

お気に入りのお茶でも一杯、
淹れに戻ろうか、仙台

僕の
これまでの旅の思い出が
けっこういっぱい
詰まってるんだよね
このお茶には

おかげさまで、だよ。